色の話三部作、という訳ではないのだけれど今回も色の話。
　カネコ系を語るには外せない、“赤”の事を書こうと思う。

　再三書いて来た事だけれど、鷹は赤が苦手だ。
　勿論それは今も変わっていない。似合うとか似合わないとか以前に、苦手なのだから仕方がない。

　でも以前の様に、少しでも赤が入っていたら絶対にそのプリントは買わない、という姿勢は今はない。
　全体の色馴染みとか、可愛さによっては赤が入っていても、もしくは赤がメインのプリントでさえ着る様になった。

　きっかけは、とても些細な事だった。
　９８年、ＰＨで久し振りにショウが開かれる事になった春、その終わり頃。
　ワタシはふらふらと、行きつけのショップにいた。

　店頭には夏の一番最初のプリント、アロハうさぎ柄が入荷したところだった。
　うさぎがひな菊とひまわりの模様のアロハシャツを着ている柄で、うさぎは焦茶色、アロハシャツの色は、白とピンク、そして赤だった。

　以前なら絶対に買わないプリントだったと思う。
　でもなんだか、そのプリントはすごく可愛く見えた。赤とは言ってもかなりシブめの色だったし、焦げ茶と隣り合わせにある事で、そんなに派手さも感じられない様な気がした。

　思い切ってきなりのワンピースを買う事にした。

　後日、カールにいた頃からずっとお世話になっている、ＮＴの担当さんにそのワンピースで会った。
　「なんかいつもと違いますね〜」と彼は言う。そしてしばらく話している内に、「ああ、今日は赤が入ってるじゃないですか！」と言われた。

　あわせている物はもはやワタシにとっては定番のベージュのオーバーブラウスとペチ、焦げ茶のオリジナルチェックのベストとスカートだった。つまり、いつも通りの茶系コーディネイトだったのだ。
　けれど、全身が映る鏡で見た自分の姿は、確かにいつもと少し印象が違う気がした。

　「やっぱり赤が入ると全体がしまりますね」
　ああそうか、と思った。

　こんな些細な事がきっかけだったのだけれど、ワタシは少しだけだけれど赤に対しての姿勢が変わった。
　苦手な赤が入っていても、全体のバランスやプリントとしての可愛さを見て考える様になった。
　以前は赤が入っているだけでもうパスだった、色んなプリントに対して目を向ける様になった事で、コーディネイトにも幅が出来た。
　
　そして今。
　やっぱり赤が沢山入っているお洋服はそんなにないのだけれど、気持ちの中では“赤”に対して随分変わっていると思う。

2000/02/09